COLUMN

なぜ汐留なのか? ビスポークと汐留の関係

こんばんは、大橋です。

『アンニ・セッサンタ』のプレオープン以来、たくさんのお問い合わせと早速のご来店をいただき誠にありがとうございます。

さて、そんな中でこんなことを聞かれます。

「どうして汐留なんですか?」

もちろん東京には非常に魅力的な土地がたくさんあることは知っています。しかし今回は結局、この汐留という意外な場所に出店することが決まりました。

これには理由があります。

まずはこの汐留イタリア街という場所です。

あまり知られていませんが、この汐留イタリア街は新橋駅から徒歩5分で非常にアクセスが良いところにあります。簡単に言えば休日に奥様の冷たい視線を背中に感じながら勇み足で出かけなくても、平日の仕事の途中に立ち寄ることのできる場所ですね。

もうかなり前から存在している区画ですが、あまりにも知名度が低く、新橋エリアで働いている人でも知らないということが少なくありません。

しかしおかげで、これほど統一感があるイタリア風の街並みでありながら、人も少なく観光客もあまりいません。

メンズ含めファッション関係の撮影やロケとしては定番ですが、普段はそれこそ「この雰囲気が当たり前の街」であるかのように、ぼんやりと存在しているのです。

特に私はこの点に非常に惹かれたのですね。

プライベート感があり、イタリアを少しでも感じさせる雰囲気。何よりも新橋から5分歩くだけでこれほどまでに広々として、静かで、石畳の広場に腰掛けてゆったりと時間を過ごすことができること。

これだけでも、とても良い条件でした。

ウィンズ汐留のカフェでコーヒーを飲みながらゆっくりすることもできます。

そして、もう一つ非常に面白いのが、『アンニ・セッサンタ』の入っているアパルトマン(ビルと呼ぶのが正しいですが、私としては完全にこの気分なのです)にとても雰囲気があること。

前に別のブログで執筆したこともありますが、ナポリのサルトリアを訪れるときにはそれなりの緊張感がありますよね。

手に汗を握りながら恐る恐るブザーを鳴らし、現世と来世の境目かと思われるほど大きな鉄製の扉を押して、重々しい大理石造りのロビーへと入る。普段から愛用しているはずの靴が、まるでブロンズで出来ているかのようにカツン、カツンと甲高い音を立て、それに伴って心拍が早まって行いく。

そして何の標識もない恐ろしく暗い階段を登りながら、扉一つ一つのプレートを見て、サルトリアの名前を探す。しかし見つからない。

ついにここまでか、と思うと何処かで派手な金属音と共に扉が開いて、「おーい、ここだよージャッポネーゼ、よっくきたねー♪」と声が聞こえる。

(大人になれる本より)

ということでサルトリア・パニコにしろ、カミチェリア・マトッツォにしろ、やはり老舗のアトリエを尋ねるときの雰囲気は、なんとも言えないものがあるのです。

そして『アンニ・セッサンタ』の入り口もまさにそんな雰囲気なのです。

この左手の入り口から入って…。

こんな内廊下を歩いた先に『アンニ・セッサンタ』がございます。

もちろん実際にご来店いただく際にはご要望に応じて建物前までお迎えにあがりますが、この雰囲気はなかなかないものですよね。

『アンニ・セッサンタ』は汐留でオープンいたしました。まだ何のイメージもないこの場所で、普遍的なクラシックと、ビンテージの空気と、そしてプライベートな時間をご提案できればと思います。